Dimension W ディメンション ダブリュー

special

2016/01/25 chapter.05 アフレコ

アニメーションの“声”を収録するアフレコ。
人気声優さんが集まる、華やかな雰囲気を想像するかもしれませんが……
そこは静かな緊張感があふれる、プロフェッショナルの仕事の現場なのです。

こんにちは、ロゼです。アニメ『Dimension W』いよいよスタートしました。
みなさん楽しんでいただけていますか?
キョーマやミラが動き、声を出して喋りはじめる。
その瞬間に「アニメになった」という実感を得られた方も多いのではないでしょうか。
今回はキャラクターたちに声が吹き込まれる瞬間、つまりアフレコ収録の様子をお届けします。

ここは都内某所のアフレコスタジオ。
マイクが立っているアフレコブースには、すでに出演声優のみなさんが集合しています。
キョーマ役の小野大輔さん、ミラ役の上田麗奈さん、アルベルト役の石田彰さんといったメインキャストのみなさんから、ゲストキャラクターを演じるみなさんまで。この日は15〜16人程度の声優さんが、収録に参加していました。
一方、調整室のほうには、亀井幹太監督、音響監督の明田川仁さん、今回収録する話数担当の演出さん、プロデューサー陣、そして原作の岩原裕二先生と担当編集の藤田健馬さんも立ち合っていらっしゃいます。
現場を仕切るのは明田川さん。明田川さんがアフレコブースに入り、キャストのみなさんが順番に挨拶。明田川さんが今回の話数の説明をしたあと、収録がはじまります。

まずは前半(Aパート)のテスト。これはリハーサルのようなものです。
モニタに映し出される映像に合わせて、演じていくキャストのみなさん。
すでに何話分かの収録は済んでいるので、キャラクターの基本的な雰囲気はできあがっています。また、事前に台本と確認用の映像が渡されているので、一度目から演技はスムーズです。
台本に書いてある台詞はもちろん、アクションシーンに入れる息や、動作に合わせた細かいリアクションまで、すでにこの段階でキャストさんそれぞれが演じ方を作ってきており、この場では皆で合わせることで確認をしているという印象です。

一通りテストが終わると、今聴いた演技をうけて亀井監督や演出さんから音響監督に細かい注文が出ます。
「カット××の台詞は、もう少し焦った感じがほしいです」
「カット××は今は淡々と喋っている感じになっていますが、もう少し感情を込めてほしいです」
逆に、音響監督の明田川さんから、亀井監督や岩原先生に、シーンのシチュエーションや演出意図についての質問が入ることもあります。
台詞が視聴者にどう聞こえて、どんな印象を与えるか——それを緻密に聴き取って、作り手側の意図通りになっているかどうかを確認していく。これは音響監督にとって大事な仕事のひとつです。さらに、複数のキャラクターが同時に発声していて、台詞が被っている部分の声を別々に録る(「別録り」)必要があるシーンや、ガヤ(「その他大勢」のキャラクターによる歓声など、はっきり決まっていない環境音的な声)を入れるシーンなどの段取りも確認されます。
この間、キャストのみなさんはブースで小休止。

調整室での打ち合わせが終わると音響監督がアフレコブースに入り、話し合った内容をもとにキャストへ指示を出します。これが、終わると、いよいよ本番スタート。
テストでの演技に、演出指示が加味されて、より演出意図に近いニュアンスへと演技が変わっています。
音響監督の指摘をうけて短時間に演技を修正する反射神経。たとえ場面や台詞そのものはさりげないものであっても、そんなところにこそ、声優さんのプロとしての凄みを感じます。
こうして一通り収録が終わると、先ほどのテストの時と同様に細かいニュアンスを確認。
続いて、別録り部分の収録(「オンリー」と呼ばれます)。

本番後の確認でリテイクになった部分の再収録。
ガヤの収録は、子供達が多い、女性だらけ、といった状況にあわせて、出演者の皆さんの中で
調整しながら行います。ガヤにもOKが出ました——はい、これでAパート終了です。
ここまででやっと、1話数の半分。
休憩を挟んで、ほぼ同じ段取りで後半Bパートの収録が行われます。

発声や抑揚のわずかなニュアンスに感情を込めようとする声優さんと、それを漏らさずに聴き取って、よりよいものに近づけていこうとするスタッフ。
それぞれの技が収録の短い時間に凝縮されたアフレコ現場は、心地よい静寂と、緊張感と、集中力にあふれています。
そこから生まれたキョーマや、ミラや、そのほかの登場人物たちの活き活きとした存在感……それはもう放映された話数から、みなさんにも感じ取っていただけたのではないでしょうか。

キャスト