Dimension W ディメンション ダブリュー

special

2016/03/25 chapter.07 Blu-ray制作

ロゼがお送りしてきました「Wの扉」もいよいよ今回が最終回です。
最後にみなさんにお届けする制作現場の極秘情報は、
ある意味、みなさんにいちばん“近いところ”で働くスタッフの仕事です。

「パッケージ制作」——それはつまり、みなさんのお手元に商品として届くBlu-rayやDVDを作るお仕事です。
本日うかがったのはビデオ編集スタジオのキュー・テックさん。
大きなモニターに『Dimension W』の本編映像が流され、何人かのスタッフが真剣なまなざしで見つめているようです——。
「パッケージ制作には大きく分けて2つの作業があります。ひとつはディスクそのものを作る作業。もうひとつがスリーブケースやジャケットなど、いわゆる“ガワ”を作る作業。今行っているのは、ディスクを作る作業の最初の段階である『フォーマット編集』です。アニメーション制作を担当した3Hzさんから届いたマスターテープをもとに、ディスクに収録する状態にフォーマットしていく作業ですね」
そう説明してくださるのは、本作でアソシエイトプロデューサーを務めるバンダイビジュアルの加戸裕子さん。作品作りから宣伝などまで幅広くサポートしつつ、パッケージ制作も担当しています。

ディスクをプレイヤーに入れて再生すると、注意書きやメーカーのロゴが映し出されてから本編がスタートします。そうした状態に編集し整えるのが、このフォーマット編集という作業です。
とはいえ単に整えるだけではなく、映像そのもののチェックもこの工程で同時に行われるのだとか。それが冒頭にご紹介した光景でした。
「今日の作業の前段階で、TV放映された映像をチェックする工程があります。絵に汚れ(セルゴミ)がないか、背景の端が不自然に切れていないかなどをチェックし、必要に応じて3Hzさんに修正していただいたものが、マスターテープとして納品されます。今日はいわば、その最終チェックでもあります」
映像の隅から隅まで目を凝らして、小さなミスも見逃さない。ある意味、地味で細かい作業ですが、商品としてのパッケージのクオリティを保つ上ではとても重要です。そして、このチェック作業にバンダイビジュアルさんの特色があるそうです。
「チェック専門の部署である『マスター課』が設けられているというのが、弊社の大きな特色だと思います。本当にわれわれでは見つけられないようなミスもみつけてくれる、専門職のような人たちの集まりで、この人たちがいるからこそ商品のクオリティが保てていると言えますね。また編集工程でも、たとえば“AパートとBパートの間に入る“黒み”は何秒にするか“といったところにまで、細かく気を配って作業しています。そんなところにまでこだわらなくても……と思うようなところにもこだわるのは、バンダイビジュアルの社風かなと思います(笑)」

そのこだわりは、もちろん“ガワ”の制作にも発揮されます。
どんなジャケットにして、どんなライナーノートをつけて、スペシャル映像や封入物など、どんな特典をつけるのか。それを企画し、制作するのも加戸さんの仕事です。
「ファンのみなさんが何を求めているかを考えて、コストとのバランスを調整しながら商品仕様を決めて、デザイナーさんやライターさんに発注します。イベント応募券を特典にする場合は、イベント自体の企画や会場の手配、出演していただくキャストさんへのオファーなども行います。単に商品としてのパッケージを作ればいいだけではなく、企画立案から各社さんとの調整、進行管理など、いろいろやらなければいけないので大変ではありますね。でも、直接ファンのみなさんの手元に届くものを作れるというのは、とても贅沢でやりがいのある仕事だと思っています。そして、実際にショップなどで自分が関わったパッケージを手に取っていただける様子を見たときなどは、本当に嬉しくなります!」

作品の企画立ち上がり、長い制作期間を経て、多彩な技術とこだわりが詰め込まれた映像が作られ、それが放映され、そして、パッケージという形でファンのみなさんに届けられます。
みなさんひとりひとりがパッケージを手に取り、楽しんでくれる瞬間——それが、作品に関わったスタッフやキャスト、すべての人にとっても、もっとも嬉しい瞬間となるのです。

全7回に渡りアニメ『Dimension W』の制作現場をお届けしてきた本コーナー。
いかがでしたでしょうか。
アニメの制作現場では、多くのスタッフがファンの皆様により良い作品をお届けしようと細部までこだわって制作に臨んでいます。
本コーナーを通じて、皆様の制作陣の思いが少しでも届き、アニメ『Dimension W』を楽しんでいただけましたら幸いです。
「Dimension Wの扉」をご覧頂き、まことにありがとうございました。
それではまた、いつか……どこかでお会いいたしましょう。

パッケージ制作