ロゼです。某社の会議室からお届けします。
今回、皆さんにご紹介させていただくのは「脚本会議」。「シナリオ打ち(合わせ)」「本読み」などと呼ばれることもあるこの会議
では、アニメ制作の第一歩ともいえる「脚本(シナリオ)」の内容が検討されています。
脚本は、脚本家さんがひとりで書けばそれでよいというものではありません。今作のように原作のあるアニメの場合、
まず脚本家さんが原作のマンガをもとに物語の大筋をまとめ直した「プロット」を作成します。
その内容を脚本会議で確認して、参加者それぞれの立場から意見交換をして……という過程を経て
台詞とト書きで構成された最終的な脚本(決定稿)が形作られるのです。
今作の脚本会議に参加しているのは、原作側からは岩原裕二先生、ヤングガンガンの担当編集さん、
スクウェア・エニックスのアニメ制作を担当しているプロデューサーなど。
原作者がどの程度会議に関わるかは作品によってさまざまですが、今作で岩原先生はほぼ毎回、
脚本会議に参加しているとのことです。
そして、アニメ制作側からは亀井幹太監督や話数担当の脚本家さん、アニメーション制作を担当するStudio 3Hzのプロデューサー、
メーカーのプロデューサーなどが参加。
あわせて9名のスタッフによって脚本が煮詰められていきます。
放映前なので具体的な内容はお伝えできませんが……たとえば、ある台詞のなかにたったひとつの言葉が入っているかいないかで、
キャラクターの印象や感情のニュアンスが大きく変化したりします。
また、マンガのフキダシのなかに「文字」として書かれていればわかりやすい言葉でも、アニメのなかで音声として聞くと
伝わりにくくなるようなケースもあります。
そうした細かいところにまで気を配りながら、台詞のひとつひとつについて意見を出し合い、
アニメではどうするのがベストなのかを探っていきます。
ストーリーの展開やシーンのつなぎ方も同様に、アニメとしてどう演出するかも考慮しつつ、
原作の魅力がより伝わりやすくなるように整理されていきます。
視聴者には直接は伝わらないようなバックボーンの設定などについても、念入りに確認されます。
「ありとあらゆる情報を引き出すために、原作のコマの隅々までチェックするんですよ」と亀井監督。
この日も、原作の描写から読み取れるとある「設定」について、岩原先生に鋭い質問を投げかけていました。
岩原先生もその質問に答えていくことで、自分がマンガで描こうとしたことをあらためて整理して捉え直している様子。
アニメでの作業が原作にフィードバックされるような部分も、ひょっとしたらあるのかもしれません。
そして、話し合いの「結論」を脚本家さんが受け取り、脚本をさらに磨き上げて決定稿に近づけていきます。
原作のマンガには何が描かれているのか。ひとつひとつの台詞にはどんなニュアンスが込められているのか。
それをアニメでどう表現すれば伝わりやすくなるか。
原作者、監督、脚本家、それぞれの「プロ」の目線での意見を集約し、脚本をベストな姿にしていく
——それが、脚本会議の持つ役割なのです。