Dimension W ディメンション ダブリュー

special

2015/12/25 chapter.04 音響効果

イマジネーションの世界にリアリティを与える重要な要素、それが“音”です。
今回の「Wの扉」は本作『Dimension W』ならではの、
こだわりの音響効果の世界へご案内します。

みなさんこんにちは。ロゼです。
今回みなさんにご紹介するのは某日、埼玉県にある本庄サーキットで行われた、効果音の収録の模様です。

実在しない世界を「ゼロ」から生み出すのが、アニメーションという表現。
そこに活き活きとした「実在感」「現実感」を吹き込む上で、キャラクターや背景美術、
キャストさんのお芝居と同様に——考え方によってはそれ以上に、大事なもの。それが「音響効果」です。
道をあるく足音や、街の喧騒、雨音といった日常的にあたりまえに聞こえる音から、銃の発射音や爆弾が爆発する音のような非日常的な音、
さらには巨大なロボットが動いたりするような“空想的”な音まで。
アニメに登場する効果音はすべて、音響効果さんによって映像に合わせてつけられています。

『Dimension W』にも当然、さまざまな“音”が登場しますが、今回このサーキットで収録されるのは、「自動車の音」です。
コイルの使用を嫌うキョーマは、時代遅れのガソリンエンジン車を愛用しています。
キョーマという人間のありかたを表現する上でも、彼の愛車はとても重要なアイテム。
その音を、今回は実在の車から直接収録することになりました。
エンジン音や走行音を、正面、横、後方など、さまざまな角度・距離から収録するのです。

もちろん、走っている音だけではありません。エンジンをかけるときの音や、アイドリングの音、マフラーからの排気音、
エンジンを停止するときの音、ブレーキ音なども収録する必要があります。
さらには、ドアを開閉する音や、クラクションの音、トランクとボンネットを開け閉めする音、
ウインドウを開け閉めする音、キーをロックする音、シフトレバーやウインカーを操作する音、ハンドルを動かす音
……車に関するありとあらゆる音が、収録されていきます。
こんな風に、本編中に登場するキョーマの愛車の「音」は、細かいものまですべて「本物」にこだわっています。
コイルのエネルギーによって繁栄している空想の近未来——そこにガソリンエンジンの音が
生々しく響くことで生まれるリアリティが、作品世界を支えているのです。
本編の放映がはじまったらぜひ、キョーマの愛車が発する音にも、耳を澄ませてみてください。

映像に相応しい音が、それらしくリアルについていればいるほど、映像を観ている側は自然にその音を聞き流してしまいがちです。
逆に音が不自然だとたちまち違和感が感じられ、すばらしい映像が台無しになってしまうことも……。
上手く行っているときは目立たず、上手く行っていないと目立ってしまう。
そんな縁の下の力持ち的な職人芸が求められるのが、音響効果の世界なのです。

音響効果